11話「甘い条件」




 魔女になる。


 そう決めた空澄は意気込んでいた。
 夕食の片付けを2人で終わらせた後、空澄はコーヒーを準備してリビングで魔女についての話を聞こうと思っていた。


 「魔女について話す前に、話しておきたい事があるんだ」
 「うん、何?」


 希海はソファに並んで座っていたが、空澄の方を向いて、何かを言いたそうにしていた。けれど、言いにくい事なのか少し悩んでいるようだった。


 「話しにくい事?」
 「まぁ……そうだな。………空澄に魔女としての知識を教えるのはいいんだが、1つ条件を作ってもいいか?」
 「条件………。教える代わりに何か報酬が欲しいってこと?」
 「あぁ。まぁー、そういう事だ」


 希海の言うことは最もだと思った。彼の大切な時間を使って魔女について教えてもらうのだ。それに、空澄と一緒にいれば魔女や魔王に襲われる危険もある。
 そんな事を頼んでいるのだ。条件があるのも納得だった。
 けれど、彼は何を望んでいるのかわからず、空澄は首をかしげた。