両親がどんな事をしていたのか。それを知りたいと思うのは普通の事だろう。それに、空澄は両親がとても大好きだった。
 お互いに愛し合い、「お父さんみたいな男性を探すのよ」と言う母と、「お母さんの次に美人だよ」と言う父。そんな2人に愛されて育ったのだ。そんな憧れでもある2人がどんな仕事をしていたのか。そして、どんなお客さんと共に生きてきたのか、知りたかった。


 すぐに返事をすると、希海は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに笑顔になった。


 「………魔女になるか決めたのか?」
 「………それは………」
 「魔女になれば生活は一変する。魔女になる勉強もあるし、仕事も辞めなきゃいけなくなる。そして、何より空澄は狙われる」
 「狙われるって、どういう事なの?」
 「純血の魔女や魔王の魔力はとても大きい。その魔力を欲する魔女は多いんだ。特に作り者の魔女はな」
 「作り者?」
 

 知らない言葉が多くなり、混乱してくると希海は嫌な顔を見せずに丁寧に説明をしてくれる。


 「要するに、生まれながら魔力をもっているのが天然の魔女。本物と言われる者達だ。そして、本などで勉強し知識を学び、花や草などを調合して魔力を使うのが作り者の魔女。作り者の魔女自身には魔力がないから、薬を売ったとしてもあたり効果がない。だから、魔力を欲するんだ。………そして、純血は、魔女同士が結婚し続けた魔女だけが血縁の一族。世界でも稀な存在だ」
 「それが私なの?」
 「そうだ。だからこそ、魔力はかなり強力だ。そのため、魔女として名声がが欲しい者から狙われる。普通ならば、子どもの頃から両親に魔女としての心得や自分を守る魔法を教えて貰い、空澄ぐらいの年になれば一人前魔女として対抗出来る。だが、お前は魔女として覚醒したばかり……そうなれば、容易にお前を拐い魔力を与えてくれる人形として一生飼われるだろうな」
 「…………そんな…………」


 自分の置かれるであろう立場を知って、空澄はブルッと体を震わせた。
 自分がそんな立場にあるのも知らずに知らない間にいろいろな人に守られて生きてきた。
 もしかして、彼も………?