「希海っ!?どうしたの………?あなた、顔が………もしかして、体調悪いの?」
 「………悪い………鴉の時と人間の時の魔力が溜められる量が違ったみたいで………今、ほとんどの魔力がなくなってしまったんだ。………だから、ちょっと眩暈しただけだ」
 「そんな………どうすればいいの?」


 冷や汗をかいて苦笑しながら話す希海を、心配しながら見つめた。魔力の事はよくわからないが、彼が苦しそうにしているのはわかった。
 魔力をあげる方法があるならば、教えてもらえればやりたいと思った。


 「寝てれば治るけど………その間、この家の結界が心配だな…………」


 希海はしばらく独りでブツブツと呟いて何か考え込んでいた。けれど、その後にジッと希海を見つめた。
 虚ろな瞳だが、何か真剣なものを感じとり、空澄は「何か思い付いた?」と、質問をした。すると、彼は少しだけ顔を上げて、頷いた。


 「1番いい方法がある。………おまえの魔力を貰うことだ」
 「私の魔力?……それならいくらでも使って!希海がそれで元気になるなら。私、まだ魔力なんて使えないし………だから………」


 空澄が言葉を言い終わる前に、希海は体を起こし、そして空澄の顔に近付いた。

 
 「……じゃあ、遠慮なくいただくけど……怒るなよ」
 「………ぇ………っっ………ーーーー!」