「私の話には続きがあります。財布に入っていた歯科の診察券を見つけて歯形をかりました。すると、この遺体と新堂璃真さんの歯形が一致しました。」
 「そ、そんな…………」
 「ですが、この白骨には不可解な店も多いそうです。10年前、彼は大事故に遭って首の骨を折る大怪我をしたはずなのに、救急車が来た時には無傷。けれど、この骨にはその事故の痕がはっきりあるそうです。………これは10年前の骨だという事です」
 「何言ってるのですか?………昨日まで私は璃真と一緒に居ました。これが、璃真の10年前の骨ならば私は今まで誰と一緒に………」
 

 小檜山の話はよくわからない事ばかりだ。
 璃真は死んでしまったという真実だけでも頭がパンクしそうで、今にも座り込んで泣いてしまい。それなのに、小檜山は不可解な事ばなりを話す。
 
 「璃真ではない」という言葉だけが聞きたいのに。


 「だから、私たちが来ているのです」
 「え?」
 「これは、魔女絡みの事件だと私たちは考えています」
 「………そんな事はどうでもいいんです!私は、私は………璃真が無事だと知りたいんです。」
 「……………そのご遺体は、新堂璃真さんのもので間違いないと、私たちは考えております」


 その熱のない言葉が耳に入った瞬間。空澄の瞳から涙が一粒流れた。
 その涙はもう止まる事なく、次々に流れてきた。空澄は、ベットに手を伸ばし床に座り込みながら、しばらくの間大きな声で泣き続けた。

 そんな空澄に声を掛けてくれる人も、触れてくれる人も、今はもういなかった。