「今回の事件が魔女が関わっているものだと考え捜査しているため、私たち魔女対策部が対応しています」
 「じゃあ、璃真は魔女に何かをされたって事ですか?」
 「………それは後ほどお伝えします。それでは、こちらへどうぞ」


 空澄を案内するように彼はゆっくりと前を歩き始めた。それを拒否する事など出来ず、空澄はその後をゆっくりと歩いた。
 昼間だというのに窓のない廊下は薄暗かった。男性だというのに、ヒールのあるブーツを履いているためか、カツカツという音が廊下に響いている。


 「この部屋です。………生前とは全く違うお姿になっております。見てもわからないと思いますが。彼の遺品のみ確認されますか?」
 「そ、そんな…………」
 「いかがされますか?」
 「待ってください!璃真かもしれないんですよね?璃真じゃないかもしれないっておっしゃってましたよね?」
 

 どうしていいのかわからなくなってしまったからな、不安からか、咄嗟にそんな事を口にすると、小檜山はチラリと目だけで空澄に視線を寄越した。その瞳は青白く、視線も鋭く空澄は体がビクッと反応してしまった。


 「だから、あなたに確認してもらうのです。怖いのならば証拠品だけ見てもらえればいいです」