「戦闘中にもう1つの属性魔法である植物の力を使ったのですよ。麻痺の粉をあなたの回りに撒かせていただきました。」
そう言うと、彼の掌からにょきにょきと芽がはえ、あっという間に大きな赤い花が咲いたのだ。それを見て、希海は「ぞ、属性が2つ………なるほど、特殊だ………」と、途切れ途切れに言葉を発した。
「そのままで居てください。もう少しで脱獄したあなたを追ってくるでしょうから」
「空澄っっ!早く逃げるんだ………」
「希海………」
空澄は彼を声を聞いて、ハッとして炎の魔法を唱えて手首の氷を溶かそうとした。だが、その前に小檜山は、空澄の前に現れ、そして冷たい指で空澄の唇に触れた。そこから少しずつ唇が凍りついてくるのがわかり、空澄は体を震わせた。
「言いましたよね。呪文をとなえれば口を凍らせると」
「………っっ!!」
彼が怒っているのがわかり、空澄は魔法を消すしかなかった。
「そうです………。大人しくしていれば怖い思いはさせません。大切にしますよ」