32話「お守り」




 「………どうやって抜け出しました?あなたを捕まえるのに苦労したというのに」
 「簡単だったさ。もう少し使える部下を準備しておくべきだったな」
 「なるほどそれは失態ですね」


 お互い冷静に離しているが、お互いに激しく魔法を繰り出している。
 希海は主に炎魔法。そして、小檜山は氷魔法だ。その間に風魔法で上手く飛んだり、幻影で相手を撹乱したりと、2人の争いは激しくなる一方だった。


 「さすがは、黒鍵家の末裔ですね。呪いとはいえ花里家に遣えていただけはあります。魔法の使い方がとてもお上手だ」
 「おまえだって純血だろ?なんか、特殊な臭いがするな」
 「気づいておられましたか………では、そろそろ種明かしを………」
 「な、何………?」


 小檜山はニヤリと微笑むと同時に、希海はふらりと体が揺れた。そして、飛んでいた体はゆっくりと落下し、そのまま地面に倒れ込んだ。


 「希海っ!!」


 空澄は悲鳴を上げて彼の様子を見ようとしたが、空澄は体を拘束されているため、そこからは希海の様子は見る事が出来なかった。


 すると、小檜山は空澄や希海を嘲笑う可のように得意気に話し始めた。