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 「そんな事があったなんて…………」


 璃真が10年前に死んでしまっていた事。そして、作り物の魔女になって、リアムを封じ、そして死んでからも空澄と共に過ごし守ってくれていたのだ。
 そんな事実があったことに空澄は全く気づかなかった。
 彼はずっと考えてくれていた。
 死んでしまった後も常に。

 それにも気づかずに自分は何も気づけなかった。最後に想いを告げてくれた本当の意味を考えようともしなかった。
 守られているだけの女だった。

 それが悔しくて空澄が涙が出そうになるのを必死に堪えた。けれど、今は泣いている暇などないのだ。目の前の男、リアムは空澄の魔力を狙っているのだ。
 璃真が必死に守ってくれたこの体。
 2回も死の恐怖を味わい、それでも自分のためではなく空澄のために力を覚え、それを使って守ってくれた自分を、今度は自分で守らなければいけない。
 そう思い、空澄は小さく呪文を唱え始めた。


 そんな空澄を見て、リアムは「俺と張り合おうっていうのか。面白い………新米魔女のくせにっ!!」と、声を上げたと同時に体から炎が飛び出て、空澄に向かってきた。空澄はそれでも呪文を唱え続け、目の前まで迫ってきた炎に向かって、属性魔法である風魔法を最大限放った。
 純血の魔力は絶大だ。
 あっという間に風の力で炎を押しよけた。
 それにホッとした時だった。