3話「別れの宣告」





 璃真は幼馴染みで、大切な家族だ。

 それ以外の感情を覚えたことは空澄にはなかった。よく彼と一緒にいると「恋人ですか?」と聞かれたり、友達にも「まだ付き合わないの?」と、言われてた。それに、数回恋人が出来たことがあると「幼馴染みと暮らすとかないだろ」と、幻滅されたこともあった。
 けれど、空澄にとって璃真は家族であり、家族が一緒に住んでいるだけなのに何かだめなのだろうか?と思ってしまうのだった。



 だけど、璃真は違ったのだ。
 璃真は空澄をお馴染みとも家族とも………そして、好きな相手と見ていたのだ。

 それに気づけなかった自分が申し訳なかったし、今まで酷い事をしていたのでは?と、空澄は心配していた。
 確かに、璃真は過保護なまでに空澄を見守っていてくれたし、とても優しかった。彼と喧嘩する事などなかったし、いつも空澄を微笑みながら見てくれていた。
 そんな彼に空澄は家族だからと甘えていたのかもしれない。璃真の気持ちなど考えもしなかったのだから。




 「ん………眠れないな………」


 今は夜中の日付が変わる時間。
 璃真に告白されてから、「ごめん………言うつもりはなかったんだけど。何か言いたくなったんだ。空澄、今のは気にしないで」と言った後、彼は普段通りに戻ってしまった。
 それでも一緒に居るのが、気恥ずかしくなってしまい、空澄はお風呂から上がるとすぐに部屋に戻り、早々にベットに入ったのだ。
 お酒も入っているのですぐに寝れるだろう。そう思っていたけれど、なかなか寝れなかった。