「俺も寝れないんだ………。だから、一緒に寝ないか?」
 「……………へ?」

 
 しかし、彼が思いもよらない言葉を口にしたため、空澄は思わず体の力が抜けて、変な声を発してしまったのだ。
 希海は頬を染めながら、片手で顔を隠しながら、空澄へ言葉を返す。


 「………いいだろ?俺たち恋人なんだから……それに、別に変な事するつもりはない。一緒に寝るだけだ」
 「………しないの?」
 「していいのか?!」
 「………ダメだけど」
 「………おまえ、俺で遊んでるだろ」


 空澄の言葉で、一喜一憂する希海を見ているうちに、空澄はおもしろくなってついついからかってしまうと、希海ははーっとため息をつきながら、じとーっとした視線で空澄を見つめていた。
 そんな彼を見て、空澄は思わずクスクスと笑ってしまった。


 「ごめんなさい。何か、可愛いなーって思って」
 「………男でしかも年上なのに、可愛いはないだろ」
 「だって、そう思ったから。…………でもね、私も希海と一緒に居たら安心してぐっすり寝れるかなって思ったよ」
 「そうか………よかった」


 ホッとし、嬉しそうに微笑む彼を見ていると、空澄は先程までの考えが消えてしまうような気がした。
 自分の気持ちを知り、大好きになった彼と一緒に寝れる。それは空澄にとってもとても嬉しい事なのだ。


 「希海は布団だから………私のベットにどうぞ?」
 「あ、あぁ………」


 一緒に寝ると決めたはずなのに、いざ希海を誘うと恥ずかしくなってしまう。空澄は恥ずかしまぎれにすぐに彼に背を向けてしまうと、希海は後ろから空澄を抱き締めて「ありがとう」と耳元でそう言ってきた。いつもより甘みのある声に、空澄の体はゾクッと反応してしまったのだった。