24話「2人の温かい夜」




 「空澄、ぼーっとしてないか?」
 「え!?」


 夕食を食べながら、先程の璃真の手紙を思い出してしまい、そのまま考え込んでいた空澄は、希海の声でハッとなる。
 箸を持って、ジッと彼を見つめていたのだ。彼が怪訝に思うのは仕方がないだろう。

 空澄は「ごめん……ちょっと考え事してた」と返事をしてご飯を口にしたけれど、希海はまだ心配そうに空澄を見ていた。


 「考え事って………何?」
 「え……その………璃真の死因はなんだったのかな。とか……彼に何があったのかなって。調べてもよくわからないままだから」


 そう。空澄はもちろん璃真について調べていた。使われた魔法はなんだったのか。彼は何故死んでしまったのか。誰が関わっているのか。そんな事を調べていたけれど、ほとんど進展がなかった。
 そんな中で璃真の手紙が出てきたのだ。
 目の前の希海は何か知っているのだろうか。もし、知っているとしたら何故黙っているのか?
 自分が聞いても希海は答えてくれるだろうか。そんな事を考えてしまったからか、彼をジッと見てしまっていたようだった。


 「………あいつの荷物も届いたからな。また、深く考えすぎないようにな」


 そう言うと、希海はポンポンと頭を撫でてくれた。
 それからは璃真の話しは終わり、違う話題に変わってしまったのだった。
 きっと、希海は話したくないのだろうなと、空澄は思った。