20話「一段落と戸惑い」




 空澄は自分の魔法で吹き飛ばしてしまった男の子の事が心配で、すぐに小檜山に連絡をした。魔女の登録が終わったその日のうちに、事件を起こしてしまったのを申し訳なく思った。
 すると、小檜山は電話口で『連絡しようと思っていました』と全てわかっているような調子で言ったのだ。何でも防犯カメラに全て写っていたようで、小学生が空澄を襲ったのも全て録画されていたというのだ。それを見た小学生が「自分の体が勝手に動いた」と話している事から、他の魔女が操ったのだろうと調べているそうだ。空澄は彼とその保護者に謝罪したいと伝えたが、擦り傷ぐらいの軽傷だった事、そして保護者が「魔女と関わりたくない」と話している事から、被害届などは出さない事になったそうだ。
 それを聞いて空澄はまた悲しくなってしまいそうだったが、希海に「無事でよかったな」と言われて、少しだけ心が軽くなった。

 確かに男の子の怪我が軽傷ですんだのでよかったかもしれない。けれど、それはたまたまそうなっただけだ。運が悪ければ大怪我をしてしまった可能性も高いのだ。
 安心しきらないで、魔法の使い方をしっかりと学ばなければ、と空澄は心に強く誓ったのだった。