19話「違和感とキス」



 警察署に行った後、前の職場に顔を出し、挨拶をした後に電車には乗らずに歩いた事。そして、その時に突然小学生の男の子に襲われて、カッターナイフで斬りつけられた事。そして、呪文を唱えてないのに魔法が発生し、気づけられた事。
 そんな話しを空澄は希海にポツリポツリと話し始めた。希海は相槌を返しながら、真剣に話しを聞いてくれた。隣に希海がいると、やはり安心して全て話してしまいたくなるから不思議だった。


 「………そんな事があったんだな。魔女になった途端にそんな辛い事を経験するなんて。大変だったな………」
 「…………どうして、魔法が勝手に発生しちゃうのかな?男の子に怪我させちゃったかもしれない」
 「………やっぱりおまえは優しいな」


 空澄の言葉を聞いて、希海はそう言って笑った。突然何故そんな事を言われるのかわからず、空澄は彼に褒められ優しく微笑まれてしまったは、焦ってしまう。


 「な、何で急にそんな話しになるの?私は別に………」
 「どうして男の子が襲ってきたのか。どうして襲われなきゃいけないのか、って始めに聞かないで、自分が相手を傷付けてしまったのを始めに聞きたくなるものだと思うけどな」
 「それもすごく気になるよ。怖かったし………どうしてなのかも」
 「そうだよな………まぁ、順番に話していこうか」


 彼は空澄が安心できるように微笑むと、いつものように頭を優しく撫でてくれる。とても心地よくて好きなはずなのに、何故か子ども扱いというか妹のように世話を焼いてくれているのではないか。そんな風に思えてしまい、胸が痛くなった。