誰にも別れた事は言わなかったけど、渚にだけは聞かれたから答えた。
「振られたんだ。」
「そうです、振られました。」
俺がそういうと、「ふーん」と渚が不思議そうな顔をした。
「なんだよ。」
「何もねえよ。」
こいつはすぐ何もねえって言うし、表情もあんり変わらないから何考えてるのか分からない。
「…………大丈夫か?」
けど、人の事はよく見てて人の変化とかに敏感。
俺が考え事してたら、絶対にバレる。
「全然大丈夫だよ!元気元気!!」
渚の前で腕を上げて元気をアピールすると、渚はふんっと鼻で笑った。
「無理しすぎだ、馬鹿。」
その言葉で、ちょっと泣きそうになった。
「うるせーよ。」
別れてから、別れる前から咲良のことを考えない日はない。
何回考えても、別れたくないってなるけど、
俺が思うのはあいつの幸せだけ。

