「やっばいよ、冬馬!」
「遅刻しちゃう!急いで!」

自転車の後ろで急かすように言うのは
如月 彩未(キサラギ アヤミ)16歳。

「誰のせいだと思ってんだよ・・・」

自転車を漕ぐ、仏頂面の
如月 冬馬(キサラギ トウマ)16歳。

「誰って、冬馬でしょ?」
「もっと早く起こしてくれてたら」
「こんなことにはならなかった!」
「自分の寝坊を俺のせいにすんなよ!」

二人は10年前、親の再婚で一週間違いの
キョーダイになった。
シャー、とゆるい坂をおり高校を目指す。

校門前、生徒指導の香川が仁王立ちで
生徒たちを迎えていた。

「ん?あれは・・・」

二人乗りの彩未たちを見つけた。

「こらーっ、如月キョーダイ!」

彩未たちの前に立ちはだかる。

「冬馬!振り切れ!」
「は、馬鹿言うなよ!」
「自転車の二人乗りは禁止されてるだろうがー!」
「ほら、冬馬っ」
「~~~~~~あーもうっ!」

綺麗に香川をすり抜ける。





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「はあー、間に合ったあ」

ガラリと教室を開け言う。

「あら、おはよう彩未」

窓際で足を組み座る黒髪ゆるふわウェーブの成川(ナルカワ)さよ。

「あの香川を振り切るとは」

さよの机に軽く座る茶髪お団子女子の
藤 朱里(フジ アカリ)。

「朝からご苦労さま、冬馬」

冬馬の肩を軽く叩く黒縁メガネのイケメン男子
瀬田 響(セタ ヒビキ)

「今度からもっと早く彩未のこと起こす」

ゼェハァ、と息を切らしながら言う。

「仲良くて結構」

ふっと笑う。


ピンポンパンポーン

「1年2組 如月キョーダイ」
「放課後、生徒指導室まで来るように!」

ピンポンパンポーン


「げっ!」

さよたちの方へ歩く彩未がアナウンスに
難色を示す。

「まあ、そうなるでしょーよ」
「どんまい!如月キョーダイ!」

各々声をかける。

「待っててやろっか?」
「いいよ、部活いけ」