新しい絵の構想は決まった。

 F50号の大作。

 このサイズは初めてなのでまったくの手探りから始めることになるけれど、それがまたおもしろい。

 絵を描くときの醍醐味だ。

 構図は、等身大より少し大きい少年の上半身だ。真っ直ぐどこまでも前を見詰める強いまなざしを持った少年だ。

 あたしが頭の中でイメージとして持っている少年像を元にするつもりだけど、たぶんきっかけは奴だ。

 あの時の強烈なイメージが絵にダブる。

 時間をかけてゆっくりとあたしはキャンバスに絵の具を乗せていった。

 あたしにもようやく後輩と言うものができて、いろいろ教える立場になる頃にはやっと画面が安定してきた。