その日から、奴とはよく顔を会わすようになった。と言っても、あたしが美術室に行くと必ずいるといった程度だ。

 先に来て絵を描いてるときもあるし、後から来るときもあるが、ほとんど、いや、一度も来なかったことがなかった。

 他の子の話や本人のおしゃべりからすると、別に毎日来ているわけではなさそう。

 あたしが部に顔を出すのは、前にも言った通り、週2回ぐらい。少なくても1回、多くて3回で、かなり気紛れに行ったり行かなかったりしている。

 最初の頃こそ、奴と顔を合わすのを気にはしていなかった。

 だって、奴は部長だもの、いないより、いるほうが自然だ。

 年が明け、1月が過ぎ、2月に入り、3年生が顔を出さなくなった頃、そう、あのF15の絵が仕上がったと決めた頃、やはり不自然だと思い始めた。

 なにをもって絵の完成とするかってのは、あたしの人生における重大なテーマの一つだが、それについては別のときに、長い話なのだ。