私の母親は、何かしらの衝撃で一時的に記憶喪失になっているんだろうと何だか余裕の表情。 私の母親は文豪作家と同姓同名の人がいるのねと上品に笑う。 私は真剣に笑えない。 顔も雰囲気も似ていると思った。 ああ、やっぱり、そうだったんだ。 これは本気でまずいと思った。 太宰 治という文豪作家が時空を越えて現代にやってきてしまった。 私のお母さんは、ただの同姓同名だと思っている。 私の母親は、暫く家で預かってあげましょうと言う。 なんだか、この若い青年を放っておけないのよね、……と。