青年の万年筆を借りた。 【私の嘘は許されるの?】 【大丈夫。許される。】 私は、この青年の名前はまだ知らない。 だけど、この顔をどこかで見たような気がする。 ──どこで、見たんだろう。 名前を尋ねた。 【太宰 治】 ──まさか、 あの太宰 治。 どこからきたのか覚えていない、 そして家もわからないと言う。