「……え?」

男の子の言葉に、僕は何も言えない。男の子は、真っ直ぐに僕を見ていた。

「俺の名は、シャーロック・ホームズ。今も生まれ変わる前も探偵をしているものさ」

そう言って、ホームズさんは微笑む。

「……生まれ変わる前も?」

「そうだ。俺は、前世の記憶を持っている。お前、ジョン・H・ワトソンだろ?」

「……どうして、僕の名前を……?」

「やはり、ワトソンなんだな。だから、言ったろ?俺は、前世の記憶を持っているって……」

そう言って微笑むホームズさんの顔が、懐かしく感じた。

「とりあえず、着替えろ。話なら後で聞いてやる」

僕の体を押し、僕を脱衣室に入れる。僕は、微笑んで体を拭き、ホームズさんが貸してくれた茶色のパーカーに着替えた。

「ホームズさん……」

僕は部屋に戻り、声をかける。ホームズさんは、椅子に腰掛けて誰かと電話をしていた。

「お、来たか……相棒」

その言葉に、僕の頬は熱くなる。あ、相棒……!?

「ふふっ……ワトソン。悪いが、今から事件に向かわないといけなくなった。今回は、すぐに帰ってくるから少し待ってろ」

茶色の帽子をかぶり、ホームズさんは嬉しそうな顔で部屋を出ていった。動きは、軽やかだ。

「……え……僕、何をしていればいいの?」

僕は日本語でポツリと呟く。話を聞かれないまま、部屋に置いていかれたのでした。