「……朔君」

「ん?」

「お風呂、入りたい…」

「だめ。熱あるから、ぶっ倒れる」

「体、べたべたするんだもん…」


かなり汗をかいていて
下着も、パジャマも、しっとりしてて
髪の毛も、肌に張り付いて気持ちが悪い


「風呂は我慢しろ」

「…無理」

「分かった。代わりに体拭いてやるから」


朔君は立ち上がると
一度、部屋から出ていって

戻ってきた時
その手には、お湯の入った桶とタオルがあった


「ゆたか、俺あっち向いてるから
上脱いで、背中向けて」

「…ん」


ぼんやりしながら
言われた通りにパジャマを脱いで、下着も外す

朔君に背中を向けるように、体の向きを変える


「大丈夫か?」

「うん」

「後ろだけやるから、前は自分でやれよ」


言いながら、朔君は絞ったタオルで
汗ばんだ私の背中を拭いてくれる

首筋に、両腕、顔周りも

丁寧に拭いてくれる



……あったかくて、すっきりする



お風呂のような
全身さっぱり感には届かなくても

拭いてもらえるだけでも、充分気持ちがいい