「思ったことを口にしてるだけだけど」

「っ、だから、そういうのが……」


……寿人さんは掴みどころのない所がある


口にする言葉や
その行動に不意打ちを食らう事が多々あって

本人の言うように
思い付いたままに行動してるだけなんだろうけど



………こういう不意打ちはほんとにやめて欲しい…






………………でも……



どきどきと早鐘を鳴らす心臓を押さえて
赤くなってるだろう顔で寿人さんを見上げる




「?」



変わらず不思議そうな表情


そんな寿人さんの服を控え目に掴んで
少し視線を落としながら呟く



「……。
…………そういうところも……好きですけど…」


「……俺は、いろはのそういうとこ
すごく可愛いって思う」


「!」


伸びてきた両手

体を引き寄せられて寿人さんの腕の中に収まる



「ひ、寿人さん……」

「いろはを困らせたくないけど
その表情も可愛いって思っちゃうんだ」


「もっと見てたいなって」



「抱き締めたいって」



「抱き締めたら、離したくなくなる」



「……っ」



困ったように話しながらも
寿人さんは私が離れるのを嫌がるように
強く抱き締めて



「……」



……そんな風にしなくても離れたりしないのに



恥ずかしくても嫌じゃない


寿人さんに抱き締められるのも

その手で撫でられるのも、触られるのも