「俺はもっとかさねちゃんと一緒にいたい」

「…」


……付き合い始めてから

それまではたいして気にも留めなかった幹也の
こういうストレートな愛情表現が
すごく恥ずかしくて



「かさねちゃんを見てたい」

「…………幹也」

「なに?」

「……恥ずかしいからやめて」


セーターの袖口で口許を隠しながら
幹也を見上げる

頬を赤く染める私を幹也はじっと見つめて


「……かさねちゃん」

「なに?」

「抱き締めてもいい?」


真顔でそんな事を聞いてくる


「……な、なにどうしたの?今日は」

「だって、かわいいから
……だめ?」

「………………だめじゃ、ないけど」


もごもごと答えると
幹也は嬉しそうに笑って、椅子から立ち上がって私を抱き締めた


「…」


言葉での愛情表現はいつものこと
だけど、触れてくることなんて滅多にないから
私は内心かなり動揺


「……いつも、こんな事しないくせに」

「いつも触れたいって思ってるよ
抑えられる自信がないから自重してるだけ」


ぎゅーっと私を抱き締めながら
幹也は困ったように耳元で囁く

幹也の息が耳にかかって

びくりと体が反応する



「っ、み、耳元でしゃべらないで」

「あれ、かさねちゃん耳弱い?」

「知らないっ」

「……」


少し体を離した幹也

真っ赤になって耳を押さえる私を
また、じっと見つめる