「降ってるな」

「ほんとだ」


昇降口の前で待ち合わせをしていた私と景くん

外に出ようとした時
雨が降ってることに気づいて


傘立てからビニール傘を取り出した景くん


「あ、ごめん。景くん
私、傘持ってきてないから借りてくる」


天気予報は雨だったけど
朝はかなり晴れてたから持ってこなかった



ひなみやかすみはロッカーに置き傘してる

ふたりともまだ教室にいるし

ひなみはなんでか2本、置き傘してるから
1本借りてこよう



「ちょっと待ってて」と言い残し
走り出そうとした私を景くんが引き止めた



「傘、ある」

「え、景くん
2本持ってるの」

「いや?これだけ」

「?なら……」

「一緒に入ってけばいいだろ?」


…………一緒にって……

それって、つまり……


「…………相合傘?」

「嫌か?」

「い、嫌じゃない!」



…………むしろ……嬉しい……



「なら行くぞ」

「…うん」



……
……



大きめの傘にふたり

濡れないようにくっついて歩く



……近い

……照れる、けど……嬉しい



「雨、あたってねーか?」

「う、うん」

「ん」


……
……
……


「……景くんさ」

「ん?」

「……もしかして
私がやってみたいとか、したいなって
言ったこと全部覚えてる?」