「……っ、な、……」



遅れて反応した鴻鳴君
ばっと勢いよく私から離れると

片手で自分の口許を隠すように押さえる



……自分でもかなり大胆な事をしてる自覚はあって


熱い顔を意識しながらも


それでも鴻鳴君に伝えたくて



「……あのね、鴻鳴君にならいいの
…………触れられるの。
…恥ずかしいけど……うれしいから」


「……」


「鴻鳴君」



放心してる鴻鳴君に私は両手を軽く広げて伸ばす



「……もっと、触れて?」



……
……



「……うい。どこでそんなの覚えてくるの?」



戸惑うように視線をさ迷わせてから

じっと私にそれを定めて

真っ赤な顔で鴻鳴君は言って



黙ってはにかむ私に根負けしたように



ぎゅうっと私を抱き締めた



「…………いちいち可愛すぎる……」



愛おしそうなそんな声に

いっぱいに広がる鴻鳴君の匂いに幸せを感じる



「……鴻鳴君の匂い好き」

「……っ、だから……煽らないで……」



ふわりと笑えば困ったような顔


そのまま唇に落ちてきたキスを


私は喜んで受け入れた






鴻鳴君の腕の中で


私が幸せを感じてるそんな間に


すっかり雨はあがっていて




澄み渡った青空には




とても珍しい




2重の虹がかかってた