「この前はごめんね。」


「大丈夫よ。」



パーティーでの事件から2週間。



翔が久しぶりに来店した。



「翔、話したいことがあるの。」


「何?」



ベッドの上に乗り、翔の両手を取る。



「彼氏にする人が決まったの。」


「・・・それで?」


「それで・・・あの・・・。」



口ごもる私に察したのか翔の表情が曇る。



「この間のことなら謝るよ。」


「翔・・・。」


「本当に君が好きなんだ。」


「違うの・・・。」


「菜月のことは何とかする。だからっ。」


「翔!」



悲しげに揺れる瞳。



「違うの。違うのよ、翔。」


「・・・俺じゃダメだった?」



とても言葉にはできず俯いて小さく頷く。



「そっか・・・。最後に、とか言ってると本当に歯止めがきかなくなるから今日はもう帰るね。」


「翔・・・。」


「じゃあね。」



最後まで悲しげな表情で部屋を出て行った翔。



とめどなく涙が溢れてくる。



頬を涙が濡らしていく。



部屋中に響く私の泣き声。



悲しくてしょうがない。



翔の言葉が頭から離れない。



「ごめんっ・・・翔・・・。」