「はぁ・・・。」


「今日で何回目?」


「え?」


「ため息。」


「あぁ・・・。ごめん。」


「ごめんじゃなくて。何かあった?」


「うん。まぁね。」



久しぶりにララと休日を過ごす。



「お客さんのこと?」


「うん。」


「宮本さん?」


「ううん。それはもう吹っ切れた。」


「そう。そりゃ良かったけど。」



アイスティーの入ったグラスの中の氷をストローでかき混ぜるララ。



「あんまり悩まない方がいいわよ。仕事に差支えるんだからね?」


「うん。分かってる。」



悩みやストレスは体に影響し、感度が低下する。



良くないことはわかってるんだけど・・・。



「ま、言いたくないならいいけど。話くらいは聞いてあげるんだからいつでも言いなさいよ。」


「ありがとう。」



翔のこと。



湊都のこと。



自分の想い。



自分の気持ち。



余計に整理がつかなくなった今の心はパレットに好き勝手絵の具を出して混ぜたような感じ。



これといって強い感情もなく、想いもない。



全てが同じ大きさで、だからこそよく混ざり合い収集が効かなくなる。



何度考えても出る結論は一緒。



自分の気持ちに正直になったところで出る答えはいつでも‘’分からない”。



相変わらず悪女だということを自覚する。



答えを出さずに曖昧にして。



ギリギリまで期待させる。



最悪なことをしてるのはわかってる。



答えを出さなきゃいけないのも。



でも自分の想いがどうしても分からない。



どうしようもない感情を胸に氷が溶けてすっかり薄まったアイスコーヒーを飲み干した。