「ようやく来てくれたと思ったのに。」


「こんな昼間から誰がヤるかよ。」


「娼館をこんな使い方する人見たの初めてよ。」


「じゃあ良かったな。また新たな経験ができた。」



ベッドに横になりだるそうに目の上に腕を乗せながら話すこの男、天木湊都。



湊都の家に泊まらせてもらってから3週間がたった。



私の予想では1週間以内には来る予定だったのに。



ようやく来たと思ったら‘’セックスが目的で来たわけじゃない。”の一言。



「娼館がどういう場所かわかってる?!」


「じゃあ、俺がお前に教えてやる。」



寝転がっていた体を起こしベッドの上で胡座を組む。



「俺は数時間休みたいだけだ。ただ家まで行くと次の仕事に間に合わねぇ。ということは次の仕事場の近くで休む必要がある。」



少し呆れたように説明する湊都に腹が立つ。



「だがここら辺のホテルは少し休むだけでも高い。なんならそこまでのサービスは必要ないくらいだ。俺は寝たいだけだからな。」


「・・・で?」


「じゃあ安くてホテル並みのサービスもなしでしかもプラスで女がついてくる娼館が1番だろ。」


「なんでそうなるのよっ?!」


「いいか。ヤるかヤらないかは客次第だ。俺はもう休みたい。お前は添い寝でもしてくれればいい。」



とベッドの上から手を伸ばす湊都。



思わずため息が出る。



その考えに至るのがすごいっていうのもあるけど休むために娼館をわざわざ利用する湊都に少し呆れた。



ベッドに近づきその手に自分の手を重ねる。



湊都は私を抱きしめながら眠った。



昨晩のパーティーで疲れたのもあって私も湊都が眠ってからすぐに眠ってしまった。