「ワトソン先生、部屋の掃除をしますね」

「なら、僕も手伝うよ」

ワトソン先生にリビングとトイレの掃除をお願いし、私はお風呂掃除とそれぞれの自室を掃除する。先に自室から掃除しようかな。

ワトソン先生の部屋、私の部屋を掃除し、ホームズさんの部屋の前に立つ。まるで、開けてはいけないドアを開けるような気がした。

二人の様子が変わってしまったのは、私の知らないところで何かが起きているからに違いない。それを知るためには、二人の自室を調べるしかない。ワトソン先生が部屋の掃除をすると言っても顔色を変えなかったのは、おそらくバレないと思っているからだと思う。

ホームズさんの部屋は、相変わらず実験器具や犯罪に関する資料が並べられている。掃除をしながら、私は引き出しなどを開けて何か入っていないかみてみた。でも、何も見つからない。

「どこか……どこかにあるはず。ホームズさんが隠しそうな場所……」

ホームズさんは、私に部屋の掃除をすることを許してくれている。私が普段掃除するのは、資料や専門書が入った棚や引き出し、そして床を掃除機でかけてーーー。