うずくまる夏夜に、光世は冷たい目で見ていた…。

光世と夏夜は中学からの同級生で、付き合ったのは高校生になってから。
付き合った当初から、光世は気にいらない事があると、夏夜に手をあげた。
暴力を振るわれても、夏夜は光世が好きで、別れられなかった。

別れようと本気で思ったのは、夏夜の妊娠がわかった時だ。
夏夜に手を出すのに、子どもに手を出さないわけがない。
別れて中絶して、新しい恋をしよう。
両親も夏夜の考えには賛成していたが、ある日の事、

「お前、妊娠しているって本当か?」

どこから聞いたのか、光世が夏夜の自宅にやってきて、夏夜に聞いた。

夏夜が黙っているので、事実だと確信した光世は、夏夜の髪の毛を強く引っ張った。

「産めよ、子ども。
中絶(おろ)したら許さないからな」

そう言って、光世は夏夜の髪の毛のをハサミで切った。