同時刻、午前8時45分。
一方、自宅を少し前に出た泰平は腕時計の時間を気にしながらいつもよりもスピードを上げて早足で道を歩いていた。
しばらくすると、広いy字路へ出た。
一度勤務先の会社へ向かう道の方へ目をやるがそちらには曲がらずもう一方の道を選んで歩き進める。
そして、泰平が足を止めた場所は道脇にぽつんとある交番所だった。
あまりにも表でずっと立っている泰平を不思議に思い警察官が一人出てきてた。
「どうされましたか?落とし物、ですか?」
泰平が真剣な面持ちで答える。
「いえ、……違います」
「では、どうされましたか?」
「ちょっと、お話をしたいことがあるんです……」
「はい、どんな内容でしょう?」
泰平が警察官の顔をじっと見る。
「あの、あの……」
「……はい」
泰平が涙を溜める。
「──じつは、僕は一人の女性を……」
(完)



