俺の浅はかな考えと俺の何気ない言葉は紗永の全てを奪ってしまう恐ろしい物に変わりはてた。
もう今の俺は紗永に何もしてあげられない。
泰平が目を瞑り頭を横に何度も振る。
いや……、きっとこんな俺に、紗永は何もして欲しくないはずだ……。
紗永、凄く辛かっただろうな……。
紗永、許して、許してくれ……。
紗永、紗永、紗永……。
いくら悔やんでも、時間はもう戻らない。
俺は一人のまだ若い女性の人生を奪ってしまったんだ。
──紗永……、
あの時、俺が電話に出ていたら……。
あの時、俺が電話をかけていたら……。
紗永は、今頃……。
泰平が両手を見ながら泣き崩れて床にしゃがみこむ。
俺の記憶に残っている紗永は……。
いつも隣で優しく笑ってくれている紗永だった。



