「結局さ、お前って、紗永ちゃんのどこが好きだったわけ?」 「好き……?」 「ああ、紗永ちゃんの魅力、どこに魅力を感じていたんだお前は?」 「そう。俺は秘書をしている紗永に魅力を感じていただけなんだ。不思議と、秘書を辞めるって聞いた瞬間、彼女に魅力を全く感じなくなって、めんどくさくなった……。秘書でなくなる紗永に、直接そのことを言った──」 椋介が目の奥に力を入れて泰平を睨んだ。 「お前、……最悪だな」 「俺、サイアク、かなあ……」 泰平が椋介の顔を見た。