「紗永、他にやりたいことがあるって言い出して。秘書を辞めるって……」



「えっ、それが別れる理由な、……わけ?」



「ああ、うん」



「うん、って……。お前、本当にはっきり言うよな」



泰平が椋介の顔を見た。




「いいよな、女の子は──」



「何が、いいんだよ?」




「紗永にも、俺は言ったことがあるんだけどさ……」




「ん、なんだよ?お前は何を言ったんだ、紗永ちゃんに?」




「簡単に仕事が辞められていいよなー、ってこと──」




「お前、そんなことを言ったのか、紗永ちゃんに?」



「ああ。女の子は仕事を辞めて、結婚して、子供を産んで、気楽に主婦をしながら日常を送っていられるから、良いよなって言った……」