『僕が大きくなったらここちゃんを僕のお嫁さんにする!しんじてまっててね?』
『うん!待ってる!』

懐かしい子供の頃の記憶・・・
あの男の子は誰だったか、名前も知らない
ただ、私の初恋だった・・






「ここちゃん!成績、どうだった?」
黒髪のストレートに、ぱっちりと大きな瞳、そしてとても整った顔立ちをしているこの子は、冨田美紅{とみたみく}、中学一年来の大親友だ!
「やばいよ、、また怒られちゃう、、」
「私より断然いい成績なのに、、、まだ合格ラインじゃないんだね?」
私の成績は280人中15位
自分で言うのも何だけど、いい方だと思う。
「う〜ん。」

私は中谷心々{なかたにここ}。高校二年生です。

「じゃあ今日のLHRは終了〜帰っていいぞ」

「っしゃ〜遊ぶべ!」
「どこであそぼーかな〜」

賑やかな放課後がやってきた。

「ここちゃん、私生徒会があるからまたね!」
「あ、うん!またね、美紅ちゃん!」

憂鬱な気持ちをうまく隠して笑ったつもりだけど、ばれなかったかな・・

「どうしよ、帰りたくないな」

でも、ここにいてもすることないし、帰るしかないかな。

「はあ、、」

深いため息をついて立ち上がる。





家に着いたはいいけど、入りたくない。この成績を見たらまた怒られるのかな、それとも罵られるのかな、どっちにしても嫌だけど。

どうせ怒られるしかないのなら家出、しようかな
そしたら少しは心配してくれるかな

そんな淡い期待を抱いて、私はどこに行くと言うあてもなく歩き始めた。


「ここどこ?」

ぼーっと歩いてたら知らない公園についちゃった。

「え、まじで帰れなくなっちゃった。」

まあ、いいかな。どうせ帰る場所もなかったし。

そんなことを考えていると奥から子供のすすり泣く声が聞こえてきた。

「ふえ〜ん、おにいちゃん、どこ〜?」

お兄ちゃんとはぐれちゃったのかな。もう日が暮れるし、子供がこんなとこにいたら危ないよね?

「大丈夫?」

男の子はびっくりした顔をして、振り返った。

「おねえちゃん、だ〜れ?」

か、かわいい、、、、

「私の名前はここだよ、僕の名前は?」

「僕はかける。」

「いい名前だね、かけるくんはこんなとこで何してるの?」

「おにいちゃんをね、探しにきたの。でもね、みつからないの。どうじよ‘’ー」

また泣き始めちゃった!なんとかしないと!

「じゃ、じゃあ、お姉ちゃんも一緒にお兄ちゃん探してあげる!ね?だから泣かないで?」

「ほんと〜?」

「ん、ほんと。」

見つかる確証はないけど、見捨てるなんてできないもんね!

「ほら、かけるくん、お姉ちゃんがおんぶしてあげる!」

かがんで背中に乗れるようにする。

「うん!」

かけるくんが駆け寄ってきて背中に乗る。

かわいいな〜小さい子って癒されるよね〜

「お兄ちゃんの名前はなんて言うの?」

「僕のお兄ちゃんはりゅうやって言うんだよ!」

「へえ〜、かっこいいなまえだね!」