上の上のそのまた上。光り溢れる天の世界では。

「メロウ、あれでよかったのか?」

白く凍った雪の城。王は、跪くメロウにゆっくりと話し掛けました。

「ええ。妹達はそれなりに人生を楽しんでいるようですし。今、白雪姫には俺なんかよりも彼のほうが必要なんで。」

メロウは左耳につけたピアスを輝かせ、静かに答えました。

「…あんなファイが、か。」

王の言葉に、メロウは笑みを浮かべ、顔を上げました。

「はい。まあ、彼女がまた天にのぼるときがきた時、その時は真っ先に抱きしめるつもりです。彼には渡さない。」

「ふっ…それは父親として許しがたい台詞だな。」

メロウの発言に、王は初めて笑みを浮かべました。

「ははっ。それよりも…お妃は?」

「ああ…最近地上の元気な娘の姿を見せると笑顔を見せるまでに回復したよ。」

そう答えた王の表情は柔らかく、ルイスは安心しました。

「それはよかったです。」

「さ、仕事に戻れ。雪の天使、メロウよ。」

「はい!」

――バサッ

返事とともに、ルイスは大きな羽に覆われ、風のごとく、消えてしまいました。

「……。」

その場には王がただ1人。

「白雪姫…ファイへの道を選んだからには、精一杯に生き抜け。そして教えてくれ。そっちの世界の素晴らしさを。」

それは独り言にしてはあまりにもはっきりとしていて、まるで目の前に白雪姫がいるようでした。