(やっぱり…久々だから上手く飛べないや。)

白雪姫の体は、ふらふらと上下左右に揺れていました。

(おもいっきり空を飛べるのはきっと、これが最後。この翼も、風も、感覚も…。)

闇に包まれた城にはコウモリ達が群がり、不気味な雰囲気をかもし出しています。

白雪姫は入り口を探すために、辺りを少し距離をおいて飛び回りました。

「あった…。」

それは、ベランダ付きの窓でした。窓が大きく開け放たれ、ひらひらとカーテンが揺れています。

――トン、

白雪姫は少し警戒しつつ、部屋の中を覗きました。
そして、誰もいないことを確認し、ホッと胸を撫で下ろしました。

「空き部屋かな?」

廊下を覗いてみても、薄暗いだけで誰も見当たりません。

「広いなぁ…ルイスは何処だろ?」

焦り出した白雪姫はとりあえず廊下に出て歩きだしました。