芸が終わり、街が落ち着きを取り戻した頃。

「僕、この街には初めて来たんだ。君は?」

ルイスは勇気を出して白雪姫に話し掛けました。しかし、白雪姫は少し困った顔で答えます。

「…んー、分からない。」

「え、分からない?」

ルイスは思わず聞き返しました。

「うん。ちょっとした記憶喪失なの。」

白雪姫は笑顔で答えます。それに対し、ルイスは気まずくなり、話題を変えました。

「あ…ごめん。僕はルイス。よかったら一緒に街を探検しない?」

「謝らなくていいよ。私こそ気まずくしてごめんね。
私は白雪姫。探検?楽しそう!」

白雪姫は再び目を輝かせ、ルイスと手を繋ぎ、走りだしました。

――ブルッ

(……あ…れ?)

相手が、自分が地に堕ちることになった原因の人物だと知らずに。