「大臣、まだ?」

ルイス王子は馬車の中で足をブラブラさせ、暇そうに外を見つめていました。

「もうそろそろ着きますよ。ほら、街が見えてきました。その奥にはもうお城です。」

その街は旅芸人が来ていたので、大変賑わっていました。

「わ、凄いや!僕、あれを見ていきたい!」

ルイスが目を輝かせながら大臣を見ましたが、大臣は首を横に振りました。

「駄目ですぞ、ルイス王子。王子たる者、ここはしばし我慢を…ってコラ!」

しかし、ルイスは馬車の扉を開け、にっこりと微笑んでいました。

「ま、見てからでも遅くないでしょう?なんなら大臣だけで用事済ませて来なよ。」

それだけ言うと、ルイスは馬車を飛び降りて行ってしまいました。

「いけません、ルイス王子!危なっ…!」

後ろから大臣の声が聞えましたが、聞えないふりをしたルイスは、旅芸人のところへ走っていき、人混みの中へと消えてしまいました。