「はぁ…はぁ…さすがに疲れますってぇー…馬ぐらい準備してくれたっていいじゃないですか…ばか王女ぉ…。」

鏡は夜通し歩き続け、くたくたでした。

「あ、白雪姫の気配が近くなってきた…ああ、眠。…。」

――ドサッ

哀れな鏡はその場に倒れてしまい、そのまま眠ってしまいました。

「…Zzz.」











……。











(あれ?なんかフカフカ…ああ、なんか…あったかい…ボクは死んだのですかねぇ…?)







鏡の脳内では、記憶がフラッシュバックし、巡り始めました。

女王の魔法が失敗し、間違って自我のある鏡が生まれてしまいました。

それが、ボク。

いつも同じ質問。

『世界で一番美しい女性は誰だぁい?』

たまに女王様に勝る好みの女性の名を言うと、女王は片っ端からその女性たちを殺していきました。

嫌でした。

しかし、ボクは嘘をつくことが出来ませんでした。

そういう魔法がかかっているのです。

嫌な記憶ばかり。

嫌な思い出ばかり。

…。