指定されたのは、ヴェネツィアにある廃ビル。私とドロシーは、魔法を使って姿を消して、廃ビルの中を歩き回る。
「……っ!」
急にライトを当てられ、私たちは眩しさに目を細めた。
「こんにちは。魔法使いの皆様」
私たちの姿をしっかりと捉え、背が高そうな男性が、私たちを見る。私たちが、かけた魔法はいつの間にか解かれていた。
「あんたは、誰!?何で魔法が解かれてるの!?」
ドロシーが、男性を見つめて叫ぶ。
「……そうか。魔法を強制解除したのか……」
私は、そう呟いた。その呟きが男性には聞こえていたようで、男性は「正解です」っと微笑む。
「……セシリアたちを返して」
「……あなた方が、これを解くことが出来たなら……ね?あぁ、申し遅れました。私は、魔法使いのオズワルドです。以後、お見知り置きを」
オズワルドはニコリと笑い、そのまま消えていった。ひらりと一枚の紙が、落ちてくる。私は、それを掴んだ。
魔法が使えしものが通いし場所、月が輝きし時、我舞い降りる
「……これが、ヒントだっての?これって、魔法学校のことじゃ……」
私の読んだ紙を覗き込み、ドロシーは言う。
「魔法学校なのは、私も分かったんだけど、魔法学校のどこに……」
「うーん……とりあえず、魔法学校に行ってみよう」
ドロシーの言葉に、私は深く頷いた。