「その前にさ。この建物は何?」

私は、広場の周りに立つ建物を指さす。ドロシーはクスリと笑うと「ドゥカーレ宮殿とかサン・マルコ寺院とかだよ」と言い、箒に跨った。

「また後で案内するよ」

そう言って、ドロシーは高々と飛び上がる。慌てて私はドロシーの後を追いかけた。

ドロシーたちは、とある家の前で降り立つ。ドロシーが家の中に入ると、「Eccomi!」と叫んだ。

「Ciao~!」

私は、訳の分からない言葉に戸惑う。エミリアも同じだ。その様子を見たセシリアは、言葉が分かるようになる魔法を私にかけてくれた。

「……まぁ、さっきの会話は、簡単に言うと……ただいま、おかえりってことかな」

ドロシーがそう言って、中に入っていく。

「昨日言った通り、友達が来たよ。入れていい?」

「良いよ!」

誰かと会話をしたドロシーは、私の方を振り向いて入るように促した。



「初めまして。ソフィア・チャイルドです」

「セシリアの双子の妹、エミリア・イーガンです!」

私たちは、自己紹介をして頭を下げる。

「可愛い子たちだね~……私は、レイラ・アンダーソン。よろしく」

レイラさんは、私たちにニコリと笑った。私たちも「よろしくお願いします」と笑う。

「レイラさん。ソフィアたちと遊んできても良い?」

「良いよ。あ、その前に……」