アルバイトをしようと面接を受けたこともあったが、「事情はわかったが、髪を染めるかウィッグを着用してほしい」と頼まれてしまった。生まれつきなのだが、この国はそういったことに優しくない。むしろ、排除しようとする。

それでも、パティシエになる夢だけは巳冬の中でどうしても捨てられなかった。事情を説明し、唯一受け入れてくれたこの学校で頑張っている。それでも、髪や肌の色が違うからと蔑まれた過去に囚われ、白は嫌いなままだ。

初めて、巳冬は学校を楽しい場所だと思えている。ようやくアルビノに理解ある仲間ができたのだ。しかし、夏場になると申し訳なくなる。

「海に行きたいな〜」

そうみんなが話していても、巳冬は行くことができない。真夏の海に行けば、巳冬の体は恐ろしいことになってしまう。

だから、みんなは巳冬を気遣ってくれる。それがどこか申し訳ないのだ。体が弱いわけではない。ただ、日に当たったりしてはいけないだけ。

「うまく作れてよかった〜」