テレビの取材で、巳冬は記者たちの取材に答えていた。アルビノのことを知ってほしい。そんな思いで受けた取材を、妻の真琴が優しく見守っている。

「僕が勇気を出せたのは、偏見の目も恐れずに僕に愛を伝えてくれた妻の存在があるからです。妻がいなければ、僕はきっと自分を好きになることはなかったでしょう。誰もが自分を好きでいられるよう、アルビノに理解ある社会になってほしいです」

テレビの取材を終え、ぐったりする巳冬に「お疲れ様」と真琴が声をかける。

「緊張した〜……。変なこと言ってないかな?」

「大丈夫!でも、もっと忙しくなりそう」

二人で営んでいるケーキ屋は、おいしいととても評判だ。テレビで取り上げられれば、猫の手も借りたいほどの忙しさになるだろう。

「そういえば、そろそろ子どもたちが帰ってくる時間か」

「じゃあ、おやつを準備しておかないとね」

二人には、小学校一年生と二年生の娘がいる。下の子は巳冬と同じアルビノだ。それでも、胸を張って生きている。

「さて、一緒に作ろうか」

「シフォンケーキにしようかな〜」

二人は笑い合い、キッチンに立った。