「僕の隣にいたら、真琴まで偏見の目で見られるかもしれない。それでも、僕の隣にいてくれますか?僕は……僕も、あなたが好きなんです。あなたが告白してくれたあの時よりもずっと前から……」

巳冬が顔を赤くして言うと、ふわりと体が温かくなる。真琴がふわりと巳冬を抱きしめたのだ。恐る恐る巳冬は真琴の背中に腕を回す。とても柔らかくて、華奢なものだ。

「両片想いだったってこと?もう!何で、もっと早く言わなかったの!!あたし、この想いは捨てた方がいいのかなってずっと悩んでたんだから!!」

その声は涙声になっている。それすら、巳冬は愛しくて「ごめんね」と真琴を強く抱きしめた。



それから数年後、あるケーキ屋が話題となった。テレビや雑誌で大きく取り上げられ、世間の関心を集めることとなった。

そのケーキ屋の名前は、「ヴァイス」。ドイツ語で白という意味のケーキ屋のパティシエはアルビノだ。

「僕は人と見た目が違うという理由で、進学やアルバイトに苦労をしました。人と違うということはそんなにいけないことなのでしょうか?僕にはそれがわかりません。しかし、今までの僕ならこんなことを言う勇気すらなかったと思います」