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ドサッと鈍い音をたてて、自分の手から衣装の入った袋が床に落ちた。
遠ざかった皇くんの声がぷつっと途切れ、先生が通話を切ったことを頭のどこかで悟る。
『2年D組、次々に玉をかごに投げ入れていきます! これはいいペースだ……!』
開いた窓から、場違いなアナウンスの声と歓声が聞こえてくる。
背中と後頭部にまわされた手が熱くて、自分のものではないその温度に、ようやく先生に抱きしめられていることを理解した。
「先、生……」
すると、耳元で聞き取れないほど微かな声で先生がなにかを呟く。
「……なんでだろうな。森下を見てると、全然似てないのにあいつを思い出す」
「え……?」
どうして? 先生が、なんで、わたしを? 次々に疑問が湧いてくるけれど、感情が追いつかず、どの答えも見つからない。
先生の腕の中で、まるで時間が止まったような錯覚に陥った。