【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい




『次の競技は借り物競走です。1年生男子は入場門前に集合してください』

 グラウンドに快活なアナウンスが響き渡る。

 借り物競走には、クラスの男子も出場するから応援しに行かないといけない。

 得点板に点数を表示するのが、わたしの体育祭委員としての役目だ。

 現在わたしたちのクラスは、6クラス中3位。学年優勝まではもう一歩――。
 得点を更新したわたしは、急いで応援席に向かう。グラウンドに戻ると、応援席はもう生徒で溢れていた。

 そこに加わることはできないと判断して、トラックを囲む輪の中に体を差し込む。
 すると目の前を、なにかを持った数人の男子がすごい勢いで駆けていった。男子たちが巻き起こした風が、髪を乱暴に揺らす。

 走る生徒たちは、スタートすぐの地面に落ちている札を選び、そこに書かれているお題のものをグラウンド中から捜し出し、それと一緒にゴールに向かう。お題は様々だ。担任の先生や、眼鏡や、無人島に持って行きたいものなどユニークに富んでいる。

 つまりこれは、足の速さがすべてではない。どういったお題を引くかという運も重要な鍵となってくるのだ。