ほっこりしつつ、活気に溢れる教室を見回していた、その時。
「あ、さきちゃんだー」
「体育祭準備か」
教室のどこかから聞こえてきたその名に、わたしの耳は鋭く反応した。声がした方を見てみれば、たまたま教室の前の廊下を通りかかったらしい先生が、ドアのところから教室の様子を眺めている。
先生を見つければ反射的に飛び出す仕様になっているわたしは、例のごとく一目散に先生の元に駆け寄った。
「先生!」
呼びかけに気づいた先生が、わたしの姿を目にした途端、驚いたように目を見張る。
「なんだその恰好は」
「チアリーダーです! 手芸部のみんなが作ってくれたんです」
先生に見てもらえたことが嬉しくて、上機嫌なまま先生の前で回ってみせる。回転に合わせてスカートがふわりと風に揺れた。