先生に告白をして、1週間が経った。
 わたしを取り巻く状況はといえば、体育祭を目前に控え、準備もゴール目前になっていた。

 今日は放課後の時間を使い、応援団員の衣装合わせだ。

 応援団員は、体育祭委員のわたしと皇くん、そして有志6人の、合わせて8人。
 完成したばかりの衣装を渡され、別室で着替えて教室に戻ると、クラスメイトたちは歓声で迎えてくれた。

「おお! 応援団、みんなサマになってるね!」

 男子は白の長ラン、女子は赤のチアリーダー姿だ。衣装はすべて、クラスの手芸部の子たちが作ってくれた。

「細かく調整するから、サイズ合わない人は言ってー」

 手芸部の子たちが、てきぱきと指示をしていく。

「ちょっと腕まわり、きついかも」
「オッケー。直すから、こっちに来て」

 声があちこちで飛び交い、その中でも手芸部の子たちの表情はこれまでに見たことがないほど輝いて見える。

 梅子では経験できなかった青春がそこには広がっている。
 思わず微笑ましく見ていると、隣では皇くんが女子に囲まれていた。

「皇くん、体格いいから、長ラン超似合うね!」
「当日、一緒に写真撮ってー!」

 女子から飛ぶ黄色い声に、皇くんは「うるせー」と声は張っているものの珍しく押され気味だ。
 応援団長である皇くんの衣装はみんなよりも裾が長く、皇くんだけが巻いている赤の長いはちまきも目を引く。スタイルのいい皇くんはそれらを抜群に着こなしていて、女子が色めきだつのも頷ける。
 だけどみんなから怖がられ、敬遠されていた存在だった皇くんが女子に囲まれているなんて、体育祭の準備が始まるまでは想像もできなかった。恐れられている状況をなんとかしてあげたいと思ったけれど、どうやら杞憂だったみたいだ。