平日放課後のショッピングモールは、学生のカップルで賑わっている。
肩で風を切りふてぶてしい態度で歩きながら、皇くんが呟く。
「俺たちも傍から見れば、カップルに見られてるんだろうな」
「んー、そうかな」
「あんた、デートなんてしたことないだろ」
「そんなの、彼氏とあるし」
「え、あんた、彼氏いたことあんの?」
「一応、は。まあ、デートらしいデートって感じでもなかったけど……」
高校生の頃は家族の確執もあり、今よりはるかに表情を変えなかった綾木くん。むりやりデートに誘っても、わたしから話しかけなければ会話はほとんどと言っていいほどなかった。
「それでも、わたしはすっごく楽しかったんだ」
「その元彼、綾木に似てるのかよ」
「似てる、よ」
似てるというか最早本人だ。……けれどそんなこと言えるはずもなく、曖昧に笑って見せた。
すると皇くんはなぜかつまらなそうな表情でまっすぐ前を睨みつけた。
「ふーん」
「なに?」
「別に」


